先生、らいもんじゃない、かみなりもん(雷門)です!

適当にショートショートを書く予定の予定(フラグ)。

ことわざ新解釈①地獄の沙汰も金次第

 ある男が閻魔大王の前に現れた。
「おまえ、生前の行いは聞いているぞ。金儲けばかりを考えて従業員を酷使、何人も過労死させたそうじゃないか。過労死した従業員の親に復讐され、ナイフで胸をひとつき。ぽっくりとあの世へ来てしまったようだな」
「ええ、閻魔さま。おっしゃる通りです。で、私はこれからどちらに向かうのでしょうか」
「地獄に決まっておろう、そこであくせく働き続けるのだ。それ以外にどこへ行けというのだ」
「それは困りましたな。地獄ほどつまらないものはない。それに私は人の上に立って、人をあくせく働かせるほうが好きだ。それでこその金儲けだ。閻魔さま、ここはこいつでひとつ考え直してくれませんか」
「地獄まで金を持ってきていたのか、すごい執着心だ。これで買収しようというのか」
「ええ、閻魔さまもお金があって困るものではないでしょう。ほら、その椅子も錆びているようですし、これて新しいのに新調してはどうですか」
「たしかに新しい椅子は欲しいと思っていた。どの世も金は特別だ。それだけの金を出されたら無視できないな、こっそり行き先を変えてやろうか」
「ありがたき幸せ。話しの分かる方でよかった、よかった」
 お金の力で閻魔大王の判決すらも覆した男、喜びながら天国への階段を上っていく。しかし、すぐに血相を変えた。
「なんだ、ここが天国だと? 雑草も伸び、掃除もされず、まるで無法地帯じゃないか」
 そりゃそうだ、男のような性格の人たちが集まっているのだ。人を遣う立場が集まった結果、みんな手を煩わすことはやりたがらずに天国は無法地帯に。。。